新興国通貨は厳しい状況
新型コロナショックの余波で、新興国通貨はかなり厳しい状況です。
今回の新型コロナのように、何か大きなイベントが起きてリスクオフムードになると、必ずと言ってよいほど新興国から大量の資金が流出して新興国通貨が下落します。
私は、南アランド、トルコリラ、メキシコペソをスワップ狙いでロングしてますが、今回は南アランドとメキシコペソの下落が特に目立っている感じです。トルコリラも下落していますが、他の2つの通貨よりは踏みとどまっている感じがします。
新型コロナの収束が見えない限り、影響は長引きそうで、回復までには結構時間がかかりそうです。
約定がおかしい?
特に下落が目立っている南アランドとメキシコペソについては、価格下落に伴って少しずつ買いを入れています。いわゆるナンピン買いですね。
危険なやり方ですが、リスクを取らなければリターンも狙えませんので、割り切ってやっています。
南アランドはくりっく365で取引しています。メキシコペソはヒ〇セ通商のLION〇〇で取引しています。
どちらも、3月の価格急落時に何度もナンピン買いの指値注文が約定したのですが、この2つの取引プラットフォームには、明らかに異なる点があります。
それは約定の際のスリップ(スリッページ)です。
スリップが発生しない?!
スリップが発生すること自体は、情報処理や通信に伴うタイムラグをゼロにすることができない限り、避けられません。特に価格急変時には、情報処理等のキャパシティに比べて相対的に処理しなければならない注文量が多くなっており、どうしてもスリップが発生しやすくなります。
では、3月のコロナショックによる価格急変時はどうだったでしょうか?実際にどの程度スリップが発生したのでしょうか。
くりっく365で取引している南アランドは、3月の価格急落時に4回の約定が成立しました。いずれも指値での買い注文です。うち3回はスリッページを起こしました。指値よりも下値で買い注文が約定し、スリップにより顧客にとっては有利な価格での約定となりました。
一方のLION〇〇で取引しているメキシコペソですが、3月の価格急落時に31回の約定が成立しました。LION〇〇は取引単位が小さいので、その分、手数が多くなっています。こちらも指値での買い注文です。
31回の約定のうち、スリッページを起こしたのは0回です。指値での買い注文ですので、顧客に有利な方向でのスリッページしか起こらないわけですが、結果的に1回もスリップは起こりませんでした。
たしかに通貨が違うので、単純に比較できない可能性はありますが、同じようなフラッシュクラッシュの状況で、どうして、ここまで違うのでしょうか。
システムの違いなのか?
一つの仮説としては、ヒ〇セ通商のLION〇〇のシステムの処理能力が、くりっく365をはるかに凌駕する性能を備えており、いかなるフラッシュクラッシュでもスリップを起こさない神器のようなシステムであるという可能性が考えられます。
でも、実は、この仮説は成り立たないです。100%断言できます。なぜなら、ヒ〇セ通商のLION〇〇のシステムは、逆指値では、非常に頻繁にスリップを起こします。私はゾロ目キャンペーンに参加するときに逆指値も多用してますので、よく分かります。
逆指値の場合はスリップを起こすと顧客に不利な価格での約定となります。LION〇〇の逆指値でのスリップ約定は、価格急変時でないいわゆる平時でも、とても頻繁に生じます。体感的には2〜3回に1回ぐらいの割合です。
LION〇〇のシステムが、スリップを起こさないような神がかり的な処理能力を備えていることなど絶対にありません。
あまりに不自然
ヒ〇セ通商のLION〇〇の約定結果は、あまりに不自然ですね。顧客に不利なスリップは頻繁に起こす。顧客に有利なスリップは全く起こさない。くりっく365など他のシステムがスリップを起こさざるをないような価格急変の状況下でも、顧客に有利なスリップだけは絶対に起こさない・・・
単にスリップの発生がシステムの能力や通信速度に起因するだけなら、ここまでいびつな結果が出ることはないでしょう。
くりっく365は東京金融取引所が運営しているだけあって、文字通り「公正」かつ「健全」な印象があります。先程の約定結果を見ても、一目瞭然です。少なくとも顧客に不利な場合にだけスリップが発生するというようなことはありません。
一方で、ヒ〇セ通商のLION〇〇は、ちょっと首をかしげたくなるような結果です。顧客に不利なスリップだけが頻繁に発生する、(FX会社にとって)よくできたシステムのようです。
なお、念の為に言っておきますが、ヒ〇セ通商のLION〇〇だけが、この業界で特に不自然なシステムだというわけではありません。他のFX会社も、程度の差こそあるかもしれませんが、どこも似たりよったりの状況です。
FX会社が実際に顧客の注文をどう約定させているのかは、まさにブラックボックスです。処理プログラムを詳細に検証すればわかるのかもしれませんが、一般の顧客がそれを確かめる術はありません。もちろん正面から問い合わせても、まともに答えてもらえないでしょう。
顧客も、大半は、半ば諦めの境地です。もちろん薄々はおかしいと感じていますが、「数pipsぐらいFX会社に抜かれてもしょうがないや」的な感じでしょうか。
業界の悪しき慣行なのか?
以上のような不自然な約定も、業界の慣行だと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、このような顧客本位とは言えない取引を行っていると、いつか手痛いしっぺ返しを食らうことになるでしょう。
こういうのを見ていると、10年ほど前の焼肉業界の事件を思い出します。当時の焼肉業界では、そこそこ良い肉であれば、ランプだろうがサガリだろうが「ロース」として客に売ってました。そんな顧客をバカにした慣行がまかり通っていたわけです。
もちろん焼肉屋にも言い分はありました。「うちは普通のロースよりも美味しい肉を出してんだ!」
もちろん、そんな言い訳は世間では通用しません。
さすがに消費者庁から改善すべきとの指導が出され、今では、このような慣行はほとんどなくなったようです。結局お上から言われるまで、業界として自浄能力が発揮されることはありませんでした。
FXの業界には、自浄能力は果たしてあるのでしょうか?それとも、お上から言われなければ、結局何も改善することはできないのでしょうか?
まあ、遅かれ早かれ、顧客に堂々と説明できないようなことを裏でコソコソと行ってるのであれば、いずれその報いを受けるでしょう。商売の基本は道徳です。渋沢栄一的に言えば論語と算盤です。どのような形であれ世の中で取引に携わる人には、「正直」という言葉の意味を重く肝に銘じてもらいたいです。
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