優待クロスのコストと節約方法(その1) コストの全体像を知ろう

アヒルの子

優待クロスのコストを知ろう

優待クロスの注文を入れる際に絶対に押さえておかなければならないこと、それはクロスしてから手仕舞うまでにいくら経費が必要なのかということです。株主優待を取得するのにかかるコストですね。

最近は簡易なコスト計算機のようなものもネット上に転がっているようで、そのようなものを利用するのも一つの方法ですが、コストの計算自体はコツさえ掴めば至極かんたんですし、慣れればものの数秒でおおまかに計算できますので(要電卓)、自分で計算したほうがはるかに早いし確実です。

そもそも、コストの内訳や内容をきちんと理解していなければ、コストの削減を行うことも、削減に向けて工夫を行うことも難しいでしょう。優待クロス取引は薄利多売の取引です。コツコツとコストを引き下げることが、収益の確保に欠かせません。

このシリーズでは、優待クロスのコストの具体的内容とその計算方法、そして節約方法に至るまで詳しくお伝えします。なお、話題の性格上、初心者向けの内容となってます。

コストの全体像は?

優待クロスのコストは、大きく以下の経費から成り立っています。

  1. 売建手数料
  2. 貸株料
  3. 事務管理費(売建て期間が1月を超える場合のみ)
  4. 逆日歩(品貸料ともいいます。制度信用売りの場合のみ)
  5. 現物買手数料(または買建手数料+買方金利)

上記のうち、1〜4は売りに関する経費です。5は買いに関する経費です。

クロス取引ですので、売りと買いの両方のポジションを持つわけですが、売りは信用取引ですので、売り建てるための手数料のほか、売り玉を維持するための各種経費がかかります。買いは現物株式で保有するだけなので、取得する際の経費のみです。

1、2、5の経費は優待クロスを行うときに必ずかかる経費なので、特に重要です。

なお、このコストの内訳は、現渡(品渡)で手仕舞うことを前提としています。信用売リ玉と現物株式を現渡(品渡)により相殺してしまえば、どこの証券会社でも手数料はゼロで経費はかかりません。

現渡(品渡)しない場合は、さらに経費がかかる

現渡(品渡)で手仕舞うには、同一の証券会社で売りと買いの両方のポジションを保有していることが必須です。異なる証券会社で売りと買いのポジションを持っている場合は、現渡(品渡)は使えません。売りと買いをそれぞれ別々に手仕舞うことになります。その場合は、上記に加えて以下の経費がかかります。

  6.売り玉の決済(買埋)手数料
  7.現物売手数料(または売建手数料+貸株料)

6は売りポジション(売り玉)を手仕舞う経費、7は買いポジション(現物株式)を手仕舞う経費です。

配当落調整金はコストではない

以上1〜7で示した経費のほかに、優待クロスをやっていると実際に支払いが生じるお金として配当落調整金があります。

この配当落調整金については、実際にお金を払うことになりますが、それは一時的なものに過ぎません。最終的には買いポジション(現物株式の保有)による配当金と、売りポジション(売り玉の保有)による配当落調整金は損益通算されて、税金の払いすぎがあれば返ってきます。実質的なコストは生じません。

このことについては、別の記事で詳しく説明してありますので、関心があればご覧ください。ここでは、配当落調整金は実質コストではないということだけ覚えておけば十分です。

次回に続く

次回以降、一つ一つの経費について詳しく見ていきます。

コメント