【オトクな納税】実録シリーズ!奥様の確定申告(後編)住民税編(2023年再アップ版)

猫

2023/3/6 再アップ
以前の記事ですが、再アップします。今年(R5)の確定申告も、ほぼこの記事の通りで大丈夫です。
今見ても、なかなか良くできた記事で、ワタシが一番助かっています。
昨年の苦労をこの記事に残しておいて、本当に良かったです^^

以下、元文
ウチの奥様の税金について、オトクな申告を実践する実録シリーズの第2弾です。

前回に引き続き、納税に関する様々な選択肢を比較検討の上、最もオトクな方法を掘り下げていきます。

なお、前回の記事をまだご覧になっていない方は、是非そちらもご覧ください。

【前回記事】【オトクな納税】実録シリーズ!奥様の確定申告(前編)所得税編

今回は、住民税です。前回の所得税よりも、一段やっかいです。なぜかと言うと・・・

所得税の方は、国税庁の公式ウェッブサイト「確定申告特集」コーナーで、まがりなりにも数字を打ち込めば実際の納税額や還付額のシミュレーションができましたが、住民税に関しては、そのようなシミュレーションが行える公式な場がほとんどありません。

仕組みも、住民税のほうが所得税よりも込み入っています。

でも、住民税の知識があるのとないのとでは、おそらく数万円単位で節税に差がつくでしょう。現に、ウチの奥様がそうでした。

端的に言えば、所得税の確定申告だけで終わらせると、かなり損をする可能性があるということです。

税金の基本的な原理は、住民税も所得税も似たようなものですので、恐れることはありません。ご興味があれば、どうぞご覧ください。

なお、住民税の申告期限は、基本的に所得税の申告期限と同じですが、後述する配当所得についての選択(総合課税or申告分離課税or申告不要)は、申告期限を過ぎても、納税通知書が送達される前なら申請が可能です。納税通知書の送達はお住いの自治体によって5月か6月ごろです。

所得の実態(再掲)

大前提として、うちの奥様の所得実態(令和2年分)はこんな感じです。前回の記事に掲載したものと同じものです。

  • 配当所得 840,000円
  • 株式等譲渡損失 560,000円(←損失です!)
  • 源泉徴収税額(所得税) 100,000円
  • 源泉徴収税額(住民税) 30,000円
  • 以上のほか、雑所得 180,000円

前回の記事でも触れましたが、奥様が使っている証券会社は8社。上の数字は8社の数字を合計したものです。源泉徴収税額は、各証券会社の特定口座で天引きされた税金の合計額です。

また、ウチの奥様は、もろもろの雑所得が18万円ほどあります。これは、給与収入がある方の場合だと、73万円の給与(支給額)がある方に匹敵します。

 73万円(給与収入) ー 55万円(給与所得控除) = 18万円(給与所得) ← 奥様の雑所得と同額

仮にパートで働いている方で73万円の支給額の方がいれば、ウチの奥様と全く同じ税金の計算になります。

市区町村への申告(住民税)

税金の申告には、税務署への申告(所得税の申告)と、市区町村への申告(住民税の申告)の2種類がありますが、今回は住民税ですので、市区町村への申告を見ていきます。

厳密には、市区町村への申告は「確定申告」とは言いませんが、とりあえず言葉の厳密な定義は横に置いておきましょう。

検討すべき点は、配当所得について、申告するかどうかも含めて、どのような方法を選択すれば最もオトクか、ということです。前回記事で説明した所得税の場合と全く同じ論点です。

配当所得について選択できる方法は、以下の3つです。この3つの選択肢も所得税の場合と全く同じものです。

  • 総合課税
  • 申告分離課税
  • 申告不要(←確定申告しないことです)

ここで、検討の前提となる大事な点を1つ押さえておきましょう。上の3つの選択肢のいずれかを選ぶわけですが、所得税と住民税とで異なる選択肢を選ぶことができます。

例えば、うちの奥様の場合、所得税では最もオトクな総合課税を選択しましたが、住民税では、違う選択(申告分離課税or申告不要)をすることができるのです。もちろん同じ選択(総合課税)をすることも可能です。

住民税で所得税と異なる選択をする場合は、税務署への確定申告とは別に、市区町村に申告書を提出することが必要です。これをしないと、確定申告での選択を住民税でも選んだものとして扱われます。

【関連】住民税において所得税と異なる課税方式を選択する場合(国税庁HP)

具体的な申告方法は、各市区町村ごとに決められていますので、お住いの市区町村にお尋ねください。

選択によって、税額はどう変わるの?

さて、いよいよ本題です。

配当所得について、総合課税、申告分離課税、申告不要のそれぞれを選択した場合に、納めるべき住民税の税額がどうなるのかを、一つ一つ詳しく見ていきましょう。

総合課税を選択

まずは、配当所得について総合課税を選択する場合。

総合課税を選択する場合、住民税の計算は次のようになります。住民税の場合は、均等割やら様々な税額控除やらがあって、ちょっと複雑です。

 840,000円(配当所得) + 180,000円(雑所得) ー 430,000円(基礎控除)= 590,000円(課税標準)

 590,000円(課税標準) ✕ 10%(税率) = 59,000円(所得割額(控除前))

 59,000円(所得割額(控除前)) ー 2,500円(調整控除) ー 23,520円(配当控除) ー 30,000円(配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除) = 2,980円(所得割額)
  (注)調整控除の額は、基礎控除の差額(48万円ー43万円)に5%を乗じた2,500円
     配当控除の額は、840,000円(配当所得) ✕ 2.8% = 23,520円(配当控除)
     配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除は、既に天引きされた税額(住民税)と同じ

 2,980円(所得割額) + 5,000円(均等割額) = 7,980円(住民税額)

以上が、配当所得について総合課税を選択した場合の住民税の計算です。なお、均等割額(5,000円)は、お住いの都道府県または市区町村によって、額が異なる場合があります。

納めるべき住民税の税額は、7,980円となりました。

既に源泉徴収で納めた住民税分(30,000円)を差し引いても(上の計算で、配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除で30,000円を引いた部分が、それです)、なお、それだけ納税する必要があります。もちろん還付はありません。

なお、総合課税を選択すれば、560,000円の株式等譲渡損失を翌年以降に繰り越すことが可能です。所得税の場合と同じですね。

翌年以降に株式等の取引で利益が出た場合、その利益と繰り越した損失を相殺できますので、その分翌年以降に納める税金を減らせます。

申告分離課税を選択

次は、配当所得について申告分離課税を選択する場合。

申告分離課税を選択する場合、住民税の税額の計算は次のようになります。ポイントは、損益通算ができることと、配当控除ができないことです。さらに住民税の場合、均等割なども複雑に絡んで、税金の計算は、かなり込み入ってます。

まずは、総合課税分から計算します。

○総合課税分
(配当所得について申告分離課税を選択しても、雑所得は総合課税のままです!)

 180,000円(雑所得) ー 430,000円(基礎控除) = △250,000円(基礎控除の残り分。この場合の課税標準は0円です)

 0円(課税標準) ✕ 10%(税率) = 0円(総合課税の税額) 

総合課税で納めるべき住民税(所得割)の税額は0円ですね。お次は、分離課税で納めるべき税額です。

○分離課税分
(申告分離課税を選択した配当所得については、こちらで税額を計算します)

 840,000円(配当所得) ー 560,000円(株式等譲渡損失) = 280,000円(損益通算後の配当所得)

 280,000円(損益通算後の配当所得) ー 250,000円(基礎控除の残り分) = 30,000円(課税標準)

 30,000円(課税標準) ✕ 5%(税率) = 1,500円(分離課税の税額)

分離課税で納めるべき住民税(所得割)の税額は、1,500円です。

先程の総合課税の分(0円)と、この分離課税の分(1,500円)を足し合わせたもの(1,500円)が住民税(所得割)の税額(控除前)となります。ここから、税額控除を行って、所得割額を算出していきます。

○所得割額の計算

 1,500円(所得割額(控除前)) ー 30,000円(配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除) = 0円(所得割額。ただし、引ききれない配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除が28,500円)

細かい点ですが、分離課税を選択した場合、調整控除の適用はありません。ここのところはかなりややこしいので詳しい説明は避けますが、単純に「総合課税の課税標準がゼロなら調整控除もゼロ」と覚えておけば、おおむね正しいです。

均等割を加えて、最終的な住民税の税額を算出します。

○最終的な住民税額の計算

 0円(所得割額) + 5,000円(均等割額) ー 28,500円(引ききれなかった配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除) = △23,500円(住民税額。マイナスなのでこの金額が還付されます。)

配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除だけは、所得割で引ききれない分は均等割から差し引くことができ、それでも引ききれない分は還付されます。「なぜ?」と問われても、そういうルールなので・・・

以上が、分離課税を選択した場合の住民税の計算です。この場合は、既に納めた税金の還付が受けられますね。

なお、560,000円の株式等譲渡損失については、すでに損益通算で織り込み済みですので、翌年度以降に繰り越されることはありません。

申告不要を選択(確定申告しない場合)

最後に、申告不要を選択した場合(確定申告をしない場合)を見ていきます。

証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で取引している場合は、申告不要を選択することが可能です。

申告不要を選択した場合、証券会社による源泉徴収をもって課税関係が終了していますので、配当所得について、新たに税額を計算し直す必要はありません。

もちろん、すでに源泉徴収で納めた税金(住民税で30,000円)が戻ってくることもありません。

なお、配当所得を申告しない場合、株式等譲渡損失だけを申告することはできません。したがって、株式等譲渡損失(この場合、560,000円)を翌年度以降に繰り越すこともできません。

さらに、重要な点をひとつ。詳しくは後述しますが、申告不要を選択した場合、合計所得金額が少なくなる(この場合は、合計所得金額は雑所得のみの18万円となる)ので、住民税は非課税です。所得割も均等割も課税されません。

このため、総合課税で課税されるはずの雑所得(18万円)に所得割は課税されません。また、均等割も課税されません。

この結果、申告不要を選択した場合は、既に納めた税金の還付はありませんし、これ以上納めるべき税金もありません。

(結論)最もオトクな方法は?

配当所得について、総合課税、申告分離課税、申告不要のそれぞれの場合について具体的な税額の計算を見てきましたが、以上をまとめると、こうなります。

配当所得の選択計算結果(住民税)株式等譲渡損失の繰越
総合課税7,980円をさらに納税○(56万円繰越し)
申告分離課税23,500円還付される
申告不要さらなる納税も還付もなし

計算結果(住民税)だけをみれば、申告分離課税が最もオトクです。なんたって、税金が戻ってきますから。追加で税金を納めなければならなくなる総合課税との違いは歴然です。無論、還付金がない「申告不要」の場合と比べてもオトクです。

他の面も含めて、もう少し掘り下げて考えてみましょう。

検討すべきは、株式等譲渡損失の繰越ができない分、申告分離課税はオトクさに欠けるのではないかという点です。確かに、申告分離課税を選択すると株式等譲渡損失の繰越しができません。総合課税の場合は、株式等譲渡損失(56万円)の繰越ができますので、将来の株式譲渡益を最大56万円圧縮できます。税率5%(住民税)として、それによる節税額は最大28,000円です。

一方で、申告分離課税を選べば、将来を待たずとも、31,480円(7,980円 + 23,500円)も総合課税よりオトクです。まともな思考の持主なら、将来もらえるかどうかわからない28,000円よりも、目の前の31,480円を選ぶでしょう。このケースでは、悩む余地はありません。

ケースによっては、株式等譲渡損失を繰り越したほうが有利になる場合もあり得ますが、ただ、損失を繰り越しても、将来それに見合う利益が見込めなければ、その繰越損失もムダに終わります。優待投資家の場合は恒常的に株式等譲渡損失がマイナス傾向なので、繰り越しても、事実上のメリットは少ないでしょう。

以上、見てきたとおり、少なくともウチの奥様のケースでは、申告分離課税の1択です。これに勝る選択肢はありません。

税務署への確定申告では、所得税で総合課税を選択していますので(前回記事参照)、何も手続きをとらなければ、住民税でも総合課税を選択したものとして扱われます。そんなことになると大損こきますね。

市区町村の窓口で、住民税の申告が別途必要です。申告のやり方は税務担当課(課税担当)で聞けば、丁寧に教えてもらえます。

なお、この市区町村への申告は、市区町村から住民税の納税通知書が送達される前に行う必要があります。納税通知書の送達は5月か6月ぐらいの市区町村が多いと思いますが、詳しくは、市区町村の税務窓口にお尋ねください。この期限に間に合わないと、後から修正申告することもできなくなるので、気を付けましょう。

ウチの奥様と同じような状況の方も多いと思いますが、くれぐれも手続きはお忘れなきよう・・・

(真エンディング)ファイナルアンサーはコレだ!

ウチの奥様の方針は決まりました。住民税は、申告分離課税を選択します。

さあ、あとは市区町村の税務窓口に行って手続きをするだけ、と思ったアナタ、ちょっと待ってください。最後に魔法のスパイスをひとつまみ加えますよ〜

まずは、次の表をご覧ください。これまで整理したものに合計所得金額を書き加えたものです。

配当所得の選択計算結果(住民税)株式等譲渡損失の繰越合計所得金額
総合課税7,980円をさらに納税102万円
申告分離課税23,500円還付される46万円
申告不要さらなる納税も還付もなし18万円

総合課税の場合は、配当所得の全額が合計所得金額に算入されます。申告分離課税の場合は、損益通算後の配当所得額が合計所得金額に算入されます。申告不要を選んだ場合、その配当所得は合計所得金額には算入されません。その結果、それぞれの選択に応じて、上の表のような合計所得金額となります。

なぜ合計所得金額を算出したのかといえば、先ほども少し触れましたが、実は、合計所得金額が一定額以下だと住民税が非課税となるのです。

例えば、東京23区内にお住まいであれば、合計所得金額が45万円以下だと住民税は非課税です。(この基準額は市区町村ごとに違います。扶養している人がいない人の場合の基準額です。)

ウチの奥様の場合、申告分離課税を選んだので合計所得金額は46万円です。非課税ではありませんね。でも、ちょっと待ってください。申告するかどうかは証券会社ごとに選べるんでしたっけ!

もうお分かりですね。ウチの奥様は、取引のあった8社の証券会社のうち、7社だけを申告して、1社は申告しないことにしました。そうすれば、その1社分の配当所得は合計所得金額に算入されなくなります。これで合計所得金額を減らすことができます。

申告しない1社については、その会社で天引きされた税金が還付されなくなりますが、たいした額ではありません。(そういう証券会社を選べばいいのです!)

ウチの奥様の最終選択(ファイナルアンサー)を先ほどの表に書き加えたのが、次の表です。

配当所得の選択計算結果(住民税)株式等譲渡損失の繰越合計所得金額
総合課税7,980円をさらに納税102万円
申告分離課税23,500円還付される46万円
申告不要さらなる納税も還付もなし18万円
→ 住民税非課税
ファイナルアンサー
(申告分離+一部申告不要)
29,000円還付される44万円
→ 住民税非課税

ウチの奥様は、申告分離課税を選びましたが、証券会社8社のうち1社だけは申告不要を選びました。その結果、合計所得金額は44万円となり、住民税は非課税となりました。
(注)繰り返しになりますが、非課税となる基準額は市区町村毎に異なります。上記のケース(45万円以下で非課税)は、あくまで東京23区内に住んでいると仮定した場合の話です。

住民税が非課税となったため、既に納めた住民税は還付されます。還付されるのは30,000円(証券会社8社で源泉徴収された額の合計)ではなく、29,000円(申告した証券会社7社で源泉徴収された額の合計)です。

8社の証券会社すべてを申告分離課税で申告するよりも、さらにオトクになりました。

なお、税金の計算は、そのヒトの所得水準や扶養親族の有無、障害の有無などによって大きく変わってきます。ウチの奥様のケースは、所得が比較的少なく夫の扶養に入っている主婦のような方には参考になるかもしれませんが、万人の参考になるようなものではありませんので、十分にご留意願います。

(おまけ)夫の税金への影響は大丈夫?

最後に、オマケを一つ。

前回記事でも検証しましたが、奥様の税金を考える場合は、夫が支払う税金への影響も考慮して、トータルで考えることが必要です。

奥様の選択が、夫であるワタシの税金に及ぼす影響についても確認しておきましょう。

一般的に、奥様の合計所得金額が増えれば増えるほど、夫に適用される配偶者控除や配偶者特別控除が受けられなくなったり額が減少したりします。

ウチの奥様の場合、合計所得金額は最終的に44万円となりました。

この場合、ワタシは配偶者控除を満額受けられます。すなわちワタシは、これまで通り、33万円の配偶者控除を受けて所得を圧縮し、納税額を減らすことができます。今回の奥様の選択が、ワタシの納税額に悪影響を与えることはありません。

なお、奥様の合計所得金額が100万円以下であれば、やはり満額(33万円)の配偶者特別控除を受けられますので、夫の税金への悪影響はありません。

奥様の合計所得金額が100万円を超えると、徐々に夫が受けられる配偶者特別控除の額は減っていき、奥様の合計所得金額が133万円を超えると、夫は配偶者特別控除を受けられなくなります。

もし、夫の税金への悪影響が見込まれるのであれば、さらに奥様の合計所得金額を減らす工夫(例えば、申告する証券会社をさらに減らす)が必要かもしれません。

ワタシの奥様のケースでは、そこまでやる必要はありませんでした。一安心です。

最後に

いかがだったでしょうか。

全2回シリーズで、ウチの奥様の納税申告を実録シリーズとしてお伝えしました。少し数字は丸めてありますが、内容は、かなり実際の申告内容と近いものです。

皆様の参考になれば幸いです。

とはいえ、このシリーズの本当の目的は、毎年、申告に際してその都度税金の知識をすっかり忘れ、同じことを悩み続けてきたワタシ自身の備忘録とすることです。

そのため、具体的な計算手順をできる限り詳しく書き留め、来年も税額の計算が滞りなくできるように心がけました。また、判断する上でポイントになった思考過程もなるべく書き残すようにしました。

来年からは、この記事のおかげで、もう少し楽ができるといいな・・・。というか、ワタシの納税じゃないんだから、奥様にもう少し当事者意識を持ってもらえると、本当はいいんですが・・・(^^;)

コメント

  1. より:

    質問させていただけないでしょうか。
    先般の記事で、確定申告で配特を使う方向で申告書を作成しました。
    そして、住民税なのですが、、、
    市区町村に別途申告書を提出するのは理解できたのですが、書類が
    所得税のように細かく内訳をか書かないようで、訳がわからなくなってきました。

    配当所得15万、株式売却益55万(特定口座5つを通算)、雑3万の場合、
    申告不要にするのが本来ベストになりそうなのですが、
    メッシュ奉公さまの申告口座を減らす最後の手段は、
    (配+売却益+雑を)基礎控除内に収まる口座だけを合計して申告する
    という考え方で合っていますでしょうか?

    突然の質問、申し訳ありません。
    もしお手間でなければ、ご回答いただけると幸いです。

    • 住民税でお悩みですね。ワタシも毎年悩んでますよ。

      ポイントは、複数の証券会社の特定口座を通算することにより住民税の還付が見込めるかどうかにかかっています。たとえば、ある特定口座では配当所得から株式等譲渡損失を引いても、なお引ききれない株式等譲渡損失があるとします(この場合、その特定口座の納税額は最終的にゼロ(←還付金で還付されているはずです)になっています)。このような場合は、当該引ききれない株式等譲渡損失を他の証券会社の利益と通算すれば、住民税の還付が見込めます。
      このようなケース(住民税の還付が見込めるケース)では、申告不要を選択するよりも、申告分離課税で申告したほうが基本的にオトクです。なぜなら、申告不要を選択すると全く税金が還付されないのに対し、申告分離課税で申告すれば、多くの場合、いくばくかは税金の還付が見込めるからです。

      他方、住民税の還付が見込めないケースもあり(たとえば、引ききれない株式等譲渡損失をかかえている特定口座がないケースなど)、このような場合は、申告しても税金は還付されませんので、通常、申告不要で十分です。

      申告分離課税で申告する場合、特定口座ごとに申告するかどうかを自由に選べますし、さらに、特定口座のなかで配当所得だけを申告したり、逆に株式等譲渡益だけを申告することも可能です。(ただし、株式等譲渡損失を申告する場合は、同じ特定口座内の配当所得もいっしょに申告しなければならない決まりです。)このように申告の自由度が高いので、うまくやれば、合計所得金額をかなりの程度調整できます。

      その際のポイントは、以下の通りです。
      1.引ききれない株式等譲渡損失がある特定口座をできる限り申告に含めること(→なるべく含めたほうが還付金が増えます)
      2.1の株式等譲渡損失との通算によって利益を減らせる特定口座(要は利益が出て税金を払っている特定口座)も申告に含める(→これで、利益が減って税金が返ってきます)
      3.2で利益が出ている特定口座を申告するにあたっては、できる限り、合計所得金額が、お住いの市区町村の住民税非課税となる額を超えないようにする(→住民税が非課税となったほうが通常オトク)
      なお、住民税が非課税となる基準額は市区町村により異なりますが、おおむね合計所得金額40~45万円で、この額に収まるようにすれば問答無用で所得割も均等割も非課税です。つまり、仮に基礎控除を上回る所得があっても、そこに所得割は課税されません。

      注意点を二つばかり。もし、税務署への確定申告で総合課税を選択しているのなら、住民税で申告分離課税や申告不要を選択するのにも申告が必ず必要です。申告しない場合は「申告不要」ではなく「総合課税」となりますのでお気を付けを。
      もう1点は、市区町村への申告の際、申告書類は合計額しか記載しない簡単なものだったとしても、必ず申告に際し、関係する特定口座年間取引報告書をすべて見せるよう求められます。どれを申告したのか窓口で間違いなく詳しく聞かれますので、ご準備を。書き方は窓口で丁寧に教えてもらえます(節税方法は教えてもらえません!)。一般的に税務署の職員より市区町村の職員のほうが住民に親切です。

      なお、以上の整理はあくまでも一般論としての助言です。個々のケースによっては、他の方法のほうが良いケースもありますが、ワタシの助言は、この程度が限度です。
      ご健闘を祈ります。

  2. より:

    見ず知らずのものに、詳しい解説を本当にありがとうございます。
    読み込んでより、お得な住民税申告ができるよう頑張ります。
    昨年、住民税を申告なしにする方がお得!と知ってウキウキしていましたが、
    もっと上をいく、メッシュ奉公さまの素晴らしい節税方法に感動してしまいました。
    しっかり管理してくださるご主人が、おられて奥様、幸せですね(^^)

    我が市では、表向きコロナなので相談は不可(市役所に来ないで!)、
    必要書類を添付してくれればこちらで加筆、修正の上
    申告しておきます的なことが書かれています(汗)
    来所すれば対応してもらえるんでしょうが、出鼻を挫かれます(^^;

  3. より:

    今週、無事に申告書を提出してきました。
    メッシュ奉公さまのおかげで、随分お得に申告ができました。
    専業主婦の身で、節税として還付を受けることが出来るのは大半有難いです。
    本当に本当にありがとうございました!!