立会外分売では、どれぐらいの利幅を狙うべきなのか?
2〜4%程度のディスカウント(割引)があるからといって、このディスカウントがそのまま利益となるとは限らないのが立会外分売です。分売実施日には、分売で取得した株を売ろうとする圧力が生じる一方で、希薄化を嫌気して入れた空売りを買い戻そうとする動きも出て、株価はかなり神経質な動きとなります。
さて、立会外分売ではどの程度の値幅が狙えるものなのでしょうか。過去のデータをもとに考えてみたいと思います。
2017年のデータをみてみよう
まずは、2017年のデータを見てみましょう。
2017年は133本の立会外分売が実施されました。
これを分売実施日に売り抜けるという前提で、仮にどの価格(指値)水準で売注文を入れておけば売り抜けられたかを検証したのが下の表です。
売注文の指値価格 | 実施日に売り抜けられた確率 |
分売価格と同値 | 94.7% |
分売価格の0.5%高値 | 90.2% |
分売価格の1.0%高値 | 82.0% |
分売価格の1.5%高値 | 76.0% |
分売価格の2.0%高値 | 68.4% |
分売価格の2.5%高値 | 62.4% |
分売価格の3.0%高値 | 55.6% |
分売価格の3.5%高値 | 48.1% |
分売価格の4.0%高値 | 43.6% |
分売価格の4.5%高値 | 39.8% |
分売価格の5.0%高値 | 35.3% |
分売価格の6.0%高値 | 24.1% |
分売価格の7.0%高値 | 20.3% |
分売価格の8.0%高値 | 15.8% |
分売価格の10.0%高値 | 9.0% |
当然のことながら指値を高くすればするほど売り抜けられる確率は下がります。分売価格と同値か又は0.5%高までなら、9割以上は売り抜けられるので、欲張らなければ負ける確率はとても低いです。
2%ぐらいの利幅を狙っても、3分の2ぐらいでその日のうちに売り抜け可能ですね。かなりの高確率といって良いでしょう。3%の利幅を狙っても半分以上売り抜けてますね。
誤解がないように補足しておきますが、当日に売り抜けられなかったからといって、必ずしも損をするということではありません。指値には達しなくても分売価格よりは上で推移していることも十分あり得ますし、もし、日中に取引ができる環境であれば、値動きを見つつ指値を柔軟に調整すれば、もちろん売り抜けも可能でしょう。
2018年のデータをみてみよう
次に2018年のデータを見てみましょう。
2018年は129本の立会外分売が実施されました。
売注文の指値価格 | 実施日に売り抜けられた確率 |
分売価格と同値 | 89.1% |
分売価格の0.5%高値 | 73.6% |
分売価格の1.0%高値 | 66.7% |
分売価格の1.5%高値 | 62.0% |
分売価格の2.0%高値 | 54.3% |
分売価格の2.5%高値 | 47.3% |
分売価格の3.0%高値 | 41.9% |
分売価格の3.5%高値 | 35.7% |
分売価格の4.0%高値 | 31.8% |
分売価格の4.5%高値 | 27.9% |
分売価格の5.0%高値 | 24.8% |
分売価格の6.0%高値 | 18.6% |
分売価格の7.0%高値 | 14.0% |
分売価格の8.0%高値 | 11.6% |
分売価格の10.0%高値 | 6.2% |
2017年と比べて、売り抜けられる確率が若干シビアになっている印象です。
それでも、分売価格と同値では約9割が売り抜けられるので、欲張らなければ負ける確率が低いことには変わりはありません。
分売価格の1.0%高ぐらいであれば、3分の2の高確率で売り抜けられる公算です。2.0%高でも半分以上のケースで売り抜けています。
実際どうすればよいの?
実際は分売される銘柄によって、狙う利幅を調整する場合が多いでしょう。分売枚数が少なく直前までの値下がりも十分だと思えば、ある程度(2〜4%程度)利幅を積極的に狙っていけるでしょう。一方で分売枚数が多く、空売りもあまり入っていなさそうであれば、無理はしない(0.5〜1%程度)ほうが良いでしょう。
とりあえず最初は高めの価格で意欲的に指しておいて、実施日の値動きを見つつ厳しそうであれば、指値を引き下げていく方法も有効でしょう。過去のデータでも検証したとおり、欲張らなければ負けることは少ないです。ただし、日中に値動きをチェックできる人でないとこの戦法は取れませんが・・・
メッシュは、日中に値動きをチェックできないことが多いので、あまり無理をしないように控えめに注文を出すことが多いです。あまり欲張らずに、少ない利益をコツコツ積み上げる作戦です。
皆さんが分売戦略を建てる上で少しでもお役に立てれば幸いです。
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